ポ〜ニョポニョポニョ

思い立って息子(中2)と二人で自転車片道30分近く乗って映画館で観てきたよ。
日本のお母さんは正月には子にモチを食わせねばならないとか、
そんな感じで子連れでジブリ映画を見に行くのはまあ日本の法律みたいなもんで
しょうがないじゃん私も流れにあまり逆らわない社会人として平和的にって、
でももううちはそんな年齢でもなくなってきたからね、もういいよねって。
全然予定していなかったんだけどね、なんかこうネットでちょっと評判を読んで、
そんなヘンな映画ならやっぱり観たいなあと思った。
息子も誘ってみたら意外に、まあ行ってみるかって感じで。
息子、自転車をこぐ速度が予想を大幅に超えて速くなっていました。
以前は私のほうが速いくらいだったとは思えん。いい自転車に変えたせいか。
ついていくのがちょっとしんどくて、映画館到着時にはわりと疲れていたんだけどね。


で、崖の上のポニョ おもしろかったよ。

絵がね、動く。おおおって声をちょっと出してしまうくらい大きく動く。
謎の大波の上を笑いながら疾走する幼女。
ゆらゆら海面に浮かんでくる超でかい濃厚美女。
水没した日常風景の中を泳ぎまわる古代巨大魚。


観に来ていた子ども客達は、時々声をあげて笑っていたけれど、
幼児はほら、大人と違う所に反応して笑うから
この映画を子どもが解説したら大人と全然別ポイントを語るだろうな。

大人はね、この映画を2つの姿勢で観ることになると思う。
まず1つめは、その「動くぜ、すげえ」的な。
そして2つめは、「この話どういうことなんだい」って。


この話は、ゴミだらけの海辺の町で
人間の開発か神々の自然か、みたいな「もののけ姫」のような
イデオロギー対決の話にもべつにならないし、それぞれの登場人物の立ち位置が
あまりよくわからない。


・宗助のおかあさんは、子どもを愛している活発で利発そうな人なのに
 どうして避難命令を無視して危険を冒してまで自宅に戻って、しかも
 宗助を置いていってしまったのか。
・町の人たちは大水害を何故平然と受け入れているのか。
・フジモトは自然破壊を憎んで人間をやめることまでしたのに、
 なんかそのへんの強い意志が持続しているとは思えない。
・世界のほころびってあとから取ってつけたみたいな。


べつにフィクションなんてつじつまの合わないことだらけでも
全然かまわないのは当然なんだけれど、
この登場人物たちの態度の不可解さの連続が
「なんだったんだろう」という感じになる。


で、こんなに謎な話なのに、なんか良い話だったなあと思う。
わかんねぃヤツばっかりだなあ、という世界だが愛はしっかりある。
理解できない世の中だけど、愛し愛され生きてる良さ。