取材のおねえさん

べつに事件とかトラブルとかいうことでは全然ないのだけれど
今やっている仕事について番組で紹介するかもしれないということで
上司がそれを了承したので
テレビ局の取材というか、その前段の打ち合わせで
まだ若いおねえさんが1人でやってきた。
特に何か機材を持っているわけではなく、外見は地味。
丁寧で腰は低く、しかし慇懃ではなく
さくさくと軽い感じでテンポ良く話をすすめる。
で、私や上司が挨拶して準備しておいた資料を渡したら
まだ詳しい説明もあまりしていないのに
その資料の中の統計を一瞬で読み取って質問をしてくる。
見た目はね、まだ学生さんと間違われることがあるんじゃないかってくらいの
ごく普通の若い女性なんだけれど
本当に一瞬で資料読んでちゃんとした質問するからびっくり。
で、こちらの説明の聞くときには
静かによくうなづきながら、すごく興味を持っている感じで聞いている。
それについて、またちゃんと笑顔もまじえて質問して
それへの答えをきいて「なるほど、・・・なんですね」というおねえさんの要約が
またサラっと正確なうえに好意的な感じでまた、即、次の段階の質問。


私は今までこういう話の聞き方された経験がなかったんだけれど
これが若くて優秀な報道の人の技など感心しました。

・なぜここで取材したいのか、わかりやすく簡潔に説明してくれた。

・服装、髪型、化粧など地味にして、キチンとしすぎず
 少しだけくたびれているくらいの印象にして相手を無駄に警戒させない。

・事前にかなりその関連情報を得ている。でも「勉強しましたから知ってます」
 みたいな言い方は決してせずに、少なめの発言の中にナチュラルに織り込んでいる。

・うるさくなく、的確な相槌。恣意的でない素直な要約。

・こちらの言う事に素直に感心してくれているようなうなづき方。

・相手に同じ説明をさせないような、テンポ良く進む質問。

・この人だったらわかってくれる、とつい思ってしまうような肯定的な笑顔。

・今回のこの話が聞けてとても有意義だった、局に帰って自分ががんばって
良い番組を作りたいと、静かにうれしそうに話す。


 私や上司の話した事が実際に使われるかどうかは知らないけれど、
このおねえさんは、きっと有能なスタッフとしてしっかり活躍できるんじゃないかな。