魚打棒に惹かれる遺伝子

ナンマシ展にまずは娘、その後に夫と息子を連れていったので
後日、家で娘(14歳)と息子(10歳)に明和電機の製品で
何が一番好きか聞いてみた。


*息子(10歳)

  <ノッカールームの自動演奏のすごいピアノ>
   これはノッカーというバチのようなものが、分解しかけたピアノに、
   いたるところにたくさん付いていて、それらが電動で激しくピアノを
   叩いて、かっこいい自動演奏をする。
   
  <パチモク>
  
  息子よ、君はやっぱりかわいいかわいい私の子じゃ。
  素直な感動を大切にするのじゃよ。 


*娘(14歳)
  
  あー、やっぱり楽器は楽しいから見ちゃうけどね。
  
  でも、あそこで一番はやっぱり、<魚打棒>だね。もう絶対。
  
  あとは<グラフィッシュ><肺魚><ハンマーヘッド>。



  きっぱりと魚殺しシリーズを堂々のトップに揚げたぞ。うちの14歳女子。

  何が君をそうさせているんだね。昨年愛読していた、バトルロワイヤルかい。


 母はそんなすっとぼけたことを、うそぶいていてはイケマセンね。
 じつはねえ、娘の言ったことは、私自身が思っていたことと
 全く同じの、ぴったりんこ。
  

 私だって同じ質問されたら、娘と全く同じことを答えてしまいそうだ。
 でも、それじゃアブナイお母さん風なので、言わずにいたのに。
 なんだろう。この一致は。


 娘が4歳の頃、繰り返し見ているという月の悪夢があった。
 聞いて驚いた。私自身、子どもの頃しょっちゅう見ていた夢だった。
 誰にも話していなかったのに。
 そのとき私は、夢というのは遺伝子に組み込まれていて
 見る夢は代々秘密に遺伝しているのではないかと思った。

 
 魚打棒に惹かれるのも、悪夢を伝えるのと同じ
 秘密の遺伝子のせいではないか。
 その遺伝子の声は、生活音にまぎれてかき消されたり
 何かのきっかけで、苦しいほど響いたりする。