町田康「告白」

告白

本日読了。若かった町田町蔵の歌った「メシ喰うな」のカッコよさは、
町田康の文に、可笑しくも不穏にうねっていて惹かれる。
って、これ以外に過去に3冊読んだきりだが。
そしてこの本。この文体がやっぱり好き。相当疲れるけど。
そして、主人公が、自分が思弁的であるのにその言語を持たないこと
について考えるところとか、そうだよ私が感じていたことはまさに
言葉にするならばそう。町田康さん、よくぞ書いてくれた。と思った。
熊太郎の魂。私がこっそり捨て子にしようとした、私の片身の魂。

しかし、話が悲しいままなんだ。
この本のオビに最初から書かれている通り、河内10人斬り。
その結末に向かって進んで、そして終わる。
出口なくもがく熊太郎。行き着く場所はそこ以外に無く。
劇的な救済はあろうはずも無く、悲しい。

「真夜中の弥次さん喜多さん」の映画への、熱情満々の今の私には
元気に笑って終わる話でないのが、つらい。