恋の門

もう2ヶ月以上ツタヤの棚を何回見ても貸し出し中が続いていて、
もしや客寄せのために空のジャケットだけ並べているのでは？と変な疑念まで持ってしまったが、ついに借りられた。

面白かったんだけどね・・・。
やっぱり監督が松尾スズキだから見たかったわけで、
それで、あの素晴らしい舞台芝居の「キレイ」のような感激を勝手に期待しちゃうと
まあそういうのではない。と言いながら普通に2回見てコメンタリーでまた見てしまった。

石で漫画を作る貧乏芸術家の松田龍平の、石だらけで恐山のような部屋とかすごく好き。
酒井若菜も元気一杯。
ストーリーにあまり関係ないけれど一番感動したのが、
終わりのほうでいきなり始まるミュージカル。
私はこのミュージカルの部分を中心に作って欲しいと思った。
忌野清志郎がばっちり歌舞いていてキャー素敵ぃぃ！。
以前にアイシャドウの悪口を言ってすまなかった。許して。
キヨシロー、おじちゃんになっても奇跡のカッコよさ。
いろんな人たちが場面を切り替えて踊っているのも好き。サンボマスターもいてうれしい。

しかし。大衆におもねるような漫画なぞ描かんという自称芸術家で、
川原で石を拾ってそれを売ろうとしたのは、オシャレで若々しい松田龍平君の前に、
漫画家つげ義春であり、それを映画化した竹中直人だわね。元は。
つげ義春の、暗い霧の中で悩むような自伝っぽい漫画。
それなのにどういうわけか読んで和むのは失踪日記の味と近い。
無能の人 [DVD]竹中直人が監督で主演。妻役は吹雪ジュン。
この映画を私が見た時期は、うちの夫が超低収入の漫画家で娘の生まれた時期で、味わい深いものがあったね。もっとも夫は毎日ニコニコと暮らしていたが。妻役が大変美しかったところが非常に気に入りました。