「なかよく」しない

「ニート」って言うな! (光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)

良い感じで読了。
3人の著者がそれぞれかなり自由に書いて合作したようだ。
共通して「ニートっていう今どきの若者の根性が不快だ、矯正すべきだ。」と
いう、いつの間にか世間の常識みたいになっちゃっている概念は
何ゆえに誤りなのかを丁寧に解説。
メインは雇用・労働の研究をしている本田さんによる、若年就労問題の論考(だと思う)。
だがしかし、この本の面白さは、実は他にあった(私に)。
この後藤和智さんっていう3番目の人。まだ現役の大学生でしかも理系なのか。
この人の方法がとても良い。「ニート」についての新聞の投書とか、週刊誌の記事とか
普通に本屋で売っている書籍とか、そういう一般的に目耳に入りやすい情報を
丁寧に読んでは分類整理して考えを深めて行く。なんか素人だからこそ、
普通に言われていることを、普通の言葉で丹念に分析している。若いのに知的にちゃんと
した人なんだな。

しかし、私がもっと面白いと思ったのは、2番手の内藤朝雄さんのところ。
最後の方は実はちょっと、美しい理念の飛翔に私は乗れなかったんだけれども、
この部分が大変気に入りました。

「存在を許す」というのは、攻撃しないという意味であって
「なかよくする」のとは違います。むしろ「なかよくしない」権利が保障されるからこそ、
「存在を許す」ことが可能になります。