夏は海だ

夏休みに小学生を海水浴に連れて行くということは、
けっこう重要な慣例イベントだと思っている。
息子は長い時間、好きなように海水に浸かっている。
ときどき見失って、あせって探すと、
あいかわらず浮き輪で、あまり波のない背丈ほどの深さの海で、
静かに満足そうに浮いている。
顔を見てみると1人で白い歯を見せて、アフアフと笑いながら浮いている。
私は昔は、わざわざ海辺まで来てビールなんか飲んでいるおじさんが
理解できなかったが、
今は灼熱の浜辺のちょっとした日陰で、ときどき海水で体を濡らしながら、
だらだらとビールを飲んで海を見て、息子を眺めるのが好きだ。
自分が日焼け止めクリームをたくさん塗ったつもりでも、
ちょっと塗り足りなかったところから、じりじりと焼けてくるのが分る。
耳無し芳一が、経文を書き漏らした耳を見つかってしまったように、
私は足の指の先とかまで、じりじりと。