ママン

ジョルジュ・バタイユの「聖なる神」の中の「我が母」を映画化したという
「ママン」。レイトショーで一昨日見てきたわけです。
18禁映画のレイトショーなんて人生初体験な、まだまだウブな中年だが。
この映画は賛否両論っていうか、ご覧になった方の感想をネットでざっと検索したところ、
もう、金を払って電車に乗ってわざわざ見に行く奇特なチャレンジャーに志願する
勇気が挫けそうになる酷評続きだったが、
私の感想としては、見に行って良かったよ。とても満足だよ。
もしもうちの近所で期間に余裕を持って上映していれば、また見に行きたい。
好きか嫌いかで答えるなら、脳から湯気が出るほど好き。


私はつい先日、たまたま眼球譚(初稿) (河出文庫)を読んだのが初バタイユ
その一冊の他には読んでいなくて、「聖なる神」も当然にまだ未読だが、
ますます読もうと思う気持ちが高まった。
逆に、「眼球譚」を試しに何ページか立ち読みして、変態キモい最低大嫌い、
とか思った人は見に行ってはいけない映画だ。雰囲気がほとんどそのものだ。


確かに言い逃れのしようもなく激しく、ど変態なんだが、
私は、変態大集合状態と、気だるい真夏の田舎の島の空気と、
毅然と欲望と堕落を示す母親と、若く美しい白い裸でなぜか尻のあたりは弛んでいる
ピエール役の男の子、その他男優女優変態役、どれも強く魅力的だ。
なんかね、変態行為の合間の静かな場面でママが語るセリフとか、
感動してぐっと来るものさえあった。

神への冒涜としての、各自の内側の欲望を声を聞くことのみが、
それぞれが生きるために必要で、
まだ捨てられない祈りがあり、やはりエロスのはては必ず死があり。
うむむ、私が言葉で語るのは全然無理だわ。

映画の最後で流れる歌が、
凄惨で滑稽で明るくて絶望的な状況にバカみたいに合っていて、それも非常に良い。
id:naja5さんのお気に入りの、タートルズ HappyTogether。