赤かぼちゃ、排泄の底

帰宅後に知った、私の旅行中に起こった娘の失敗。
私が直島で草間弥生赤かぼちゃに入ったり出たりして喜んでいたその日、
娘は高校の同級生達とアングラ劇団のテント芝居を見に行った。
その特設テントのために、その期間中設置されている仮設トイレを娘は使用。
仮設トイレというのは、やはりそこで排泄されたものをタンクに溜める
いわゆる汲み取り便所の原理が採用されている。
あろうことか、娘は服のポケットから携帯電話をその便器に落下させてしまった。
しばしば語られる不幸都市伝説「携帯電話トイレ水没物語」の
更なる上を行く「携帯電話トイレ水没しかも汲み取り」という酷い事態。
友達や知人やらのアドレスや電話番号、今後の予定メモなどのデータとともに、
私が以前に買い与えた草間弥生赤かぼちゃ携帯ストラップも
糞尿のかなたへ去った。

娘のこのストラップ赤かぼちゃが、人々の排泄物の中に沈んだ日

遠く離れた地で母はこの赤かぼちゃの中に入り、そこから再び出て
帰ってきた。
胎内としての赤かぼちゃ。そのかぼちゃは人間の排泄した汚がれの中から
出て、美しく立ち上がったもので、そこから出た人間もまた排泄し産み、
生まれ出でた娘は糞尿にそのかぼちゃを沈め。という入れ子構造というか
不思議シンクロニティというか。

で、携帯電話は問い合わせたら、貯まったポイントで特にお金は払わずに
無事に代替機を使えることになった。消えたデータはそこそこなんとか
友達に協力してもらったりあきらめたりらしい。