アラマタヒロシ澁澤愛
- 作者: 荒俣宏
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1993/09
- メディア: 単行本
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楽しく読んだ。
グアテマラの小さな村で見てしまったのだ、この上もなく奇怪な神像を。
(中略)ひとくちにいうと、サミー・デーヴィスJrのマネキン・・・
ぼくはもう、天にも昇る気分で、その論文を読みふけった。なにしろ筆者がフンボルトなのだ。十九世紀最大の文化人と断言してもいいような人物。ダーウィンと、植村直己さんと、南方熊楠と、ホーキングと岡本太郎と、それにわが大魔王澁澤龍彦とを全部足し合わせて牛乳で泡立ててから、それを1年間チベットの山中で発酵させて固めたような・・・
モデルニスモが集中している地区では、町全体の建物が、ぐにゃぐにゃ、きらきらしている。ガウディよりもずっと大胆な建築をしたアーチストたちがバルセルナにはいくらでもいる。
(マヤ民族の織物について)その多彩さときたら、まったく、目玉と脳が絶叫するほどだ
荒俣さんのこの飛ばしっぷりが素敵だ。
心の内に大魔王澁澤龍彦を道連れにちて訪れたプラハで
「奇想とは、オフタイムの文化の総称。あくまでもオンタイム=実社会を動かす文化ではなく」と、奇と異の差を考えるのがとても面白い。
文学という形式の数寄者だった三島由紀夫が、ある日とつぜん市ヶ谷の自衛隊に突入した瞬間から「オンタイムに割り込んだ奇」として排除の対象になった事情も、奇の本質を明示している。