「ラースと、その彼女」

正月休みに渋谷で映画を観た。すっごく良い映画だった。


物静かで、人との交流が少ない、会社員の若者ラース。
彼の孤独を案じて、世話好きな兄嫁が無理矢理食事に誘ったり、
ガールフレンドを作るように助言する人や、好意を持ってくれている若い
女子社員までいる。でも彼は乗り気になれない。
しかしある晩突然に彼は、兄夫婦にガールフレンドを紹介したいと言う。


兄夫婦も大喜びで迎えるが、ラースが連れてきたのはリアルドール
出迎えた兄夫婦は愕然としその場面は、彼女である人形のビアンカ
兄夫婦のどちらが人形なのかわからなくなるくらいに硬直。
ラース1人はうきうきしあわせ。
アダルトな目的のその等身大の人形を、ラースは素晴らしい女性と信じて
車椅子に乗せて、語りかけ、微笑んで一緒に外出する。


普段それほどしゃべったりする訳でもないが、それぞれにとって
大切な弟だったり、同僚だったり、教会の信者だったり、
ご近所さんだったりするラース。
ビアンカに語りかけながら人生初めての満ち足りた微笑を浮かべる彼には
どう接すればよいのか。いつまでもただ驚いているだけではいられない。
町の医師の助言も得て、彼の変調を妄想患者として隔離しようとはせず
皆で大切に付き合うことにした。


そんなラースのこともビアンカのことも、町の人たちが
みんなで受け入れて、ときには真剣に怒ったり。
町の人たちがビアンカにちゃんと敬意を持って接しているのが良い。
ラースもね、ビアンカと暮らしながら
会社では同僚の女子社員のテディベアの救命をしてあげたりね。
ボーリング場での楽しさが切なかったりね。
兄嫁の親切に心を痛めていたりね。

本当に良い映画見れてよかったと、私はぐじぐじ泣きながら思ったのでした。


ちなみに、夫も一緒に見たが、私がかなり泣いたのを知って
「ええーっ、どの場面?」って感じだったけれど、良い映画だって
一応言っていた。