すべて腐らないものはない

町田市立国際版画美術館で銅版画の展覧会
「中林忠良 すべて腐らないものはない」が始まった。


中林忠良の銅版画は実にかっこいい。
白い紙に黒く摺る
暗い画面の中の縞の布とか
画面全体に拡がる精密に描かれた枯れ草とか。
それのどこがそんなにかっこいいのか
説明は難しいんだけれども。


腐食銅版画は危険な芸術だ。
中林忠良も、その腐食液の毒性のために一時期健康を害した。
薬品で銅板を腐食させ
作家自身の身体も腐食され
腐食の過程である枯れ草を転写し
しかしその作品を見る誰しもがまた腐爛の過程。
人も物もすべて腐爛し再生を待つやすらぎ。