カレー屋で悩む

職場の近くにカレー屋ができた。
その店はインド人のおじさんばかりが4人程働いている。
私が一人で入ったときに、他には誰も客はいなくて、
つまり、店内には、私とヒマそうな4人のインド人おじさんだけ。
あまりにヒマだったらしく
私がカレーを食べている間、店長らしき人が私の近くに来て
「辛さはいかがですか」など笑顔で話しかけてくる。
私も何かこれは話さなくてはと、つい気を使って

ムトゥ 踊るマハラジャ [DVD]

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踊るマハラジャを、以前にビデオで毎日家族で観ていたことなど話す。
なごやかに話すが、しかし店長は
「他にはどんなインド映画を見ましたか?」とにこやかに私に聞く。
え・・・職場の昼休みに休憩に入った店のおじさんとここまで話すだけで
かなりもう無理してるんですけどそれ以上を求められてしまったか・・・
仕方がないので、ヤジャマン 踊るマハラジャ2
「オモシロカッタですか?」
あああ、この映画の感想をカタコトの日本語のインド人に
限られた昼休み時間にカレーを食べながら語ることを求められるとは・・・

この映画がね、日本人の思考回路のままに見ると、ビックリ映画なんだわ。
「ムトゥ」はさ、「何でここでいきなり大勢で踊りまくるか」とかの
びっくりは連発だったけれど
「ヤジャマン」はまた別の不可解。


ラジニーカントが、領民に慕われる王様なんだけれど、敵に狙われている。
敵は王様を倒すために、その若く美しい王妃に
不妊になる毒薬を飲ませる。これで王妃は子どもができない体になった。
って、ここで「そんなまわりくどい敵の倒し方は何?」って違和感。
しかしそこで一人の若い村娘が王様を助けようとする。
それが「ああ〜ん。腰が痛いわあ〜。王様にレイプされたのよ〜ん」と
変に色っぽく、村中に言って回る。
村娘の父親は娘に激怒。被害者と言っている娘に
「レイプされたのなら恥じて死ぬべきであるのに、
生きて自らそれを村中に言うとは許せぬ、わしがお前を殺す」と。
ここまでで、日本人女子である私などはすでにぶっとび。
しかし娘がレイプされたのは全くの嘘。
王様が「なぜそんな嘘をついたのか」とたずねると
「子どもができないのは、王様に男性としての能力がないからではない。
王様はレイプもできる男なんだ、立派なんだと皆に伝えたかった」と
娘は涙ながらに告白。
すると父親は
「娘は自分の命をかけて王様の名誉を守ろうとした。
娘よ、お前を誇りに思うぞ」と、娘を抱きしめて感涙。


で、そんな国民的な価値観の違いを短時間で説明する自信が無くて
「怒る理由とかが日本とインドで違うから、ちょっと難しかった」
と話すと、「しかし映画は字幕があるから大丈夫ですよ」って。
そういう問題じゃないんだよお。