[美術]森美術館「医学と芸術」

森美術館のお客さんって
若いカップルがデートで六本木ヒルズの展望台に来て
ついでに美術館にもよってみました、みたいな率も高いよね。


「医学と芸術展」で、古い解剖図の前で
「いや〜ん」とか言って手を握り合っているおしゃれカップルとか、
アメリカンヒーロー達の老後を立体作品にしたのとかを見て、
昭和で例えるなら
東京タワーの上に、お化け屋敷と蝋人形館を置く。という商法と近いと思った。


そんなちょっと意地悪いことを考えながら
この「医学と芸術展」は、やはり興味深く鑑賞。
静かに展示される古い象牙の解剖模型、美しい造形の少女用の義手。


何メートルも続く黒い紙に白く粉で塗ったような作品は
頭蓋骨を長い紙やすりで形が消滅するまでこすり続けたものだと知り
言葉では説明できない安らかな気持ちになった。
なんだろう。死んで残る私の骨は、そのままでは
私であることから解放されないが
紙やすりですべて粉にされて痕跡だけが残る安心感かな。
散骨とは全然違うのよ。もっと清々しいのよ。


そして遺伝子操作でアートとか、
もっと実用的に凄いと思ったのが
脳でイメージしたことを読み取って動くスーパーハイテク車椅子。
科学技術超すげえですね。