虫のこととか金のこととか

2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)

2円で刑務所、5億で執行猶予 (光文社新書)

 犯罪の件数と刑務所人口には相関関係がない理由とか、防犯カメラにはそれほどの防犯効果がないこと、アメリカの非行少年の矯正プログラムで実施された「凶悪犯の収監されている刑務所を体験させて、こんな酷いことになってはいけないとビビらせて更生させる」方法が逆効果になってしまったことなど、いろいろ興味深い。いかにも立派にきこえる「治安の悪化。モラルの低下。少年犯罪には厳罰化を。激増する外国人犯罪。」などが何故間違いなのか。

 「犯罪不安社会」が目からウロコの面白さだったことに比べれば、この本はその補足説明的な感じはあるけれど、この著者の本はもっと私は読みたい。

犯罪不安社会 誰もが「不審者」? (光文社新書)

犯罪不安社会 誰もが「不審者」? (光文社新書)



ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)

ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)

「大学院まで行っていっぱい勉強したって、まともな給料出るところに就職なんてできないじゃないかぷんぷん」と。うん。それは非常に困ったことだが、しかし研究者って芸術家みたいな、貧乏リスクは承知でっていう面も多少なりともどうなの…とかちょっと悩みつつ読み進めるうちに後半になって、いきなり学問への仏教的悟りに至ってしまった感じだ。うーむ。


虫の文化誌 (朝日選書)

虫の文化誌 (朝日選書)

そして現代社会の貧困その他の難しい問題から目をそらせて、昆虫のことを遠い目で考えると和むね。江戸時代の「猫のノミを取りましよ」と言って家々をまわって飼い猫を洗って狼の毛皮で猫をくるんで抱いてノミを集めて取る商売とか、優雅な感じでよいですね。
ある種の蝶はサナギから羽化したときに鮮紅色の便を排出する

ヒオドシチョウが一度にたくさん羽化すると「血の雨」が降ったといって大騒ぎになる。1296年にフランクフルトでは、この赤い血の雨が降ったばかりに、なんの罪もないユダヤ人が一万人も虐殺されたという。

ひいいー。怖い虫よりも人間が怖いよ。