クリスマスにドッグレッグスを観たこと

年末の日記に書きそびれていたんだけれど
12月25日のクリスマスに下北タウンホールで障害者プロレスドッグレッグスの試合を見た。
今回の興行タイトルは「鍋」。いろいろ盛りだくさんな選手ゴッタ煮って感じか。
私はドッグレッグスは初めて見たのが3年位前で、これは凄いと思って
それ以来何度か行っているんだけれども
毎回驚きに満ちた興行なんだけど、今回はまた更に充実感がてんこ盛り。
本気の格闘技の迫力が上昇した感じで、
観ていて「うわーっ!」「おおーっ!」と客席からでかい声を出してしまったり
どきどき手に汗握ったりする頻度が高かった。
選手と選手が本気で肉を打つ音が怖いくらい聞こえてきた。


今回のミラクルヘビー級の試合。
自力で起き上がることができない等の最重度の障害者たちが、
今回はまとめて6人でリングに上がった。まさに「鍋」。
なんだかんだで「よっこいしょ」が勝利。
常に首を脱臼していて、首を攻撃されると死んでしまう選手として有名。
寝たきりのようにじっとしていたかと思うと、驚きの足技攻撃で勝つ。
複数の意味で最強。


聴覚障害の女子の新人選手同士の試合。
スラっとした涼しげなお姉さんが、相手の顔面にパンチ連発。
淡々とした雰囲気なのに、躊躇ない強いパンチの音。
人体を叩くこの怖い音も、観客のどよめきも選手自身には聞こえない。
これは驚きの新人登場だ。

今回とても迫力に満ちた良い試合だったのが、
「虫けらゴロー」対関口選手。関口は難病で体の動きがスムースではない。
しかし見るからにしっかりした体形で強い。
そして「この人は負けない」と思わせるような真面目に前に進む力強さがある。
対するゴローは身体障害者ではない。ひきこもり。格闘漫画好きで、
もさもさの前髪が目の下まで覆っている。鬱屈が燃料。
このゴローが素晴らしくかっこよかった。
進行する難病と闘い、体を鍛え、おそらく社会的にも相当努力して
前向きに頑張って正しく生活しているイメージの関口に対して、
いろいろ不満を言っては引きこもっていてダメな奴のイメージのゴロー。
しかしゴローは全く臆するところがない。
若い健康な身体なのに勝手な理屈で引きこもっていることを全く隠さず、
真剣に努力してしっかり暮らしている障害者を躊躇なく殴る。
もちろん関口はとても強いのでビシビシ殴り返す。
本当にどちらも本気の闘志で格闘技って怖くて強くてかっこいい。
どちらも実に強かったけれど判定でゴローの勝利。
リングを去るとき関口はゴローに「おい!おまえのどこが虫けらなんだよ!」と。
それに対してゴローは「勝ちました。僕とクリスマスをすごしてくれる
女の子はこのあとロビーで待っていてください。」とアピール。
讃え返すことをしないこの変わらなさが良いね。


その後ゴローがクリスマスの夜を女の子とすごせたのかどうかは知らない。
うちの娘(20歳)も、クリスマスに母親と2人でドッグレッグス見に来たんだが。


そして今回の最後のメインの試合も素晴らしく良かった。
中嶋選手はガンとうつ病。対する「陽の道」は聴覚障害の若手イケメンカメラマン。
今までに見た試合のイメージからすると、そりゃ若くて元気な陽の道が当然強いと思っていたんだけれども。
試合が始まってびっくり。何故これがメインの試合なのかわかった。
中嶋の動きが今までと違う。そういえば体つきも違う。強くなっている。
今までの中嶋はいろいろな思いをたくさん抱えてリングに上がるんだけれど
試合自体はすぐ負けてしまっていた。
今回はびっくり、殴られて苦しくても負けない。そしてなんと
相手を抱え上げて投げるあっと驚く大技まで使っての勝利。


非常に見ごたえのある試合ばかりで感動的興奮。
自らクリスマスに母親をドッグレッグスに誘ってしまった
20歳の女子大生である娘も喜んでいた。

次回の興行は4月ですって。また行きたい。