物語の誕生

昔の高校演劇部って、なんであんなにみんなで別役実だったのか。
今どきはまた違うのかなあ。
久保キリコはLaLaで毎月読んでたな。そろばん教室ではパンク少年で
学校では地味なつんた君の話とか、ミチコさんの貧乏ごっことか。

家にたまっている買ったのにまだ読んでいない本をさしおいて、
古本屋で見かけて表紙買い、即読み。
昭和のいくつかの実際の刑事事件の短い紹介と
別役実の考察。淡々と久保キリコの絵。
サブタイトルの「物語の誕生」ってぴったりだ。
事件を物語に変化させるのって、こういう考え方なんだ、と感心。
特に珍しくもないような事件が、別役ワールドになって行く。
「自分はあなた以上に思慮分別を欠いた人間である」と互いにアピール
することで、相手に思慮分別を押し付けようとするせめぎ合い。とか。
単純に整理され説明された感情なんかより、複雑で回りくどくても
ずっと心で分かりやすいことってある。ってこの本で思い出した。