松尾スズキ本

クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ

芥川賞ノミネートのこの本。文の流れが勢い良いので
わりと時間をかけずに読み終わる。
薬を大量に飲んでオーバードーズとなり、
目覚めたら閉鎖病棟に入院させられていた女性主人公。
病棟にはかなりの曲者の患者達。そりゃ薬も飲むわ的な、彼女の事情。
退院するまでの14日間のいろいろ。再生。


私の通っていた看護学校は、精神科がメインの古い国立病院の中にあって、
男子、女子、開放、閉鎖、児童など、いくつもの病棟が点在していて、
べつに自分は入院しているわけでもないし、実習以外では病棟に入ることも
ほとんどなかったんだけれども、でも居心地の良さみたいな感じも妙にあった。


この本は、私が知っていたその精神病棟とは雰囲気がずいぶん違って、
今風っていうか、きっとこのモデルになっているような精神病棟もあるんだろう。
今どきの若い娘さんの、摂食障害と薬物が中心の患者構成のところ。

この主人公は、なんでこんなにすぐに精力的に他の入院患者に興味を持つんだろう。
丁寧に淡々と書かれた体験記風。
オビにも書かれているセリフ。「長い罰ゲームだったね」。
人間の生活は、どこからどこまでが何の罰ゲームなんだろう。
もしかして、生まれてきてしまったことに対しての罰ゲーム。
ゲームなんかじゃない、罰なんかでもない。元気に笑ってこなす。