幻かもしれないレストラン

息子(11歳)は、夏休みを友達と遊ぶでもなく
隠遁者のように静かに汗臭く室内で過ごす日が多い。
先日は珍しく「散歩をする」と言って、家から数分間歩き、
住宅地のなかで方角が分らなくなって、同じところを何度も
ぐるぐる回ってしまう、立派な迷子になったという。
そしてその、我が家から学校に行く道の近くに
きれいな小さいレストランがあったという、息子の証言。
そんなレストランが家の近くにあったとは驚いた。
でもなあ、本当にあれば私も気づいている。
息子に今度一緒に行って見たいと言っても、
「もう無理。道に迷って迷って偶然見つけただけ。
 きっともう行かれない。」と息子が自分で言う。
やっぱり幻かなあ。