あの入学式

今は日の丸・君が代について、入学式卒業式で教育委員会の言うとおり、
石原知事の言うとおりに振舞わねば、相当に難儀な事態を招くようで、
私もうちの家族も先生に叱られないように従順に行動するたちなので、
起立でも斉唱でも何でも先生の指示通りにする。

でも、うちの娘が小学校に入学した平成9年度の入学式では
都内の公立小学校だったけれども、まだ日の丸も君が代もなかった記憶。
私は自分自身が子どもだった頃以来の入学式で、
「今の小学校の入学式って、こんなに素晴らしいんだ!
 こんな感動的なイベントって作れるんだ。
 よかったなあ、こんな良いところだったんだ小学校って。」
と、大感激した。そりゃ自分の第一子のお入学だからこその
親馬鹿感激でもあるんだけれども。

その当時、娘の小学校の図工の先生と音楽の先生の力が存分に発揮されていたのが
あの入学式の大きな特徴だったと思う。
子ども達の共同制作の色鮮やかなたくさんの大きな不思議な美しい
花の絵や看板などで、学校の玄関から廊下、体育館まで明るい色彩で満たされていた。
上級生たちはリコーダーや鍵盤ハーモニカや、名前も知らないいろいろな珍しい楽器で
躍動的な合奏曲を見事に演奏してくれた。みんな誇らしげで、楽しげで、私は涙が出た。

その4年後に息子が入学したときには、その場にはいかにも不自然に
とってつけたように、国旗掲揚国歌斉唱が加わっていた。
伸びやかな明るさに満ちた入学式が少し変化したようだった。
娘のときと同じ形式の入学式を今再びやったら、その小学校の先生方は
どえらいめに会ってしまうだろう。絶対にタダじゃすまないはずだ。
でも、あの入学式は全然批難される筋合いのない、愛がある良い式だったよ。


娘の高校は都立校なので、卒業式の君が代日の丸は
それこそしっかり指導を遵守するのだろう。
生徒達はスーツの他に、演奏会用ドレス、何故かド派手ウェディングドレス、
着物、自作の謎の斬新衣装や着ぐるみ等、勝手な服装で盛り上がっているが。