いじめる理由

息子(小6)が持ち帰ってきた学校のプリントには
文部科学大臣からの手紙」もあわせて印刷されていた。
今すぐいじめをやめようという主旨で
「君たちもいじめられる立場になることもあるんだよ。」と書かれている。


しかし、「自分もいじめられる立場になり得る」と感じているからこそ、
いじめに加担し、また率先していじめを煽りさえしている子は多いんじゃないか。


娘(高1)の中学校時代は、女子同士のいじめが常にあった。
中学入学後間もなくから、クラスの女子全員でのいじめによる連帯形成。
まるで当番のように、いじめられるターゲットが1〜2週間で交代した。
その間はその子に対し、たとえば教科書や文具を何か手に持とうとするたびに、
クラスの女子全員が、交代で張り付くようにしてことごとくそれを払い落とす等。
やっている子は「ただのちょっとしたフザケ遊び」という姿勢。娘もされた。
それを指示している子が決まっていて、その子には逆らえないから、
仲が良かった子が「あなたに本当はこんなことしたくないけれど、ごめん」と
こっそり手紙をくれてでもまだ加担は続いたり、
やられていた子は、次の標的に対してだれよりも積極的に自分がされたと同様の
ことをする。そうしなくては自分の当番は終わらない。
娘もやはり苦しい気持ちで加担したらしい。


そして数ヵ月後には、いじめの指示を出す中心だった子はその座を失った。
「あいつサイテー」とその子が今度はハブかれた。
そうなる寸前、その子は娘にもその友達にも「私のこと好き?私達仲良しよね?」
と必死に手紙をよこしていた。
他にも、学校行事のときにクラス全体をまとめて頑張った子は
「ね、ね、アイツってキモくない?」というコミュニケーションのとりかたで
同級生達との交友を深めていたので彼女の中では、学校行事でクラスが優勝できて
大感動して「やったあ、このクラスはすごい。みんな仲良し!」と叫ぶことと、
彼女自身がいじめたことで行事の日だって登校を避けた生徒がいることが矛盾しなかった。
単純ではなかった。



今は娘は美術系高校でやっと、いじめの心配を全然しない学校生活をしている。
粘土やデッサン用木炭で汚れた服で、先生をベタベタ触って
「先生に、キタナイから触らないでよ、それになんだか臭いよ」って言われちゃった
私もう5日間ふろに入っていないから、テヘっ!と明るい笑顔で娘は語ったりする。
「私の弁当は貧乏くさくて笑われて、同級生数名に写メで撮られちゃった。あはは」
とか笑っている。
言葉だけ聞くとイジメとそっくりだが、心から和やかで両者楽しんでいる。
単純ではない。