老人モデル

美術系高校生な娘から聞いた話。
かつて某超有名美大のすぐ近所に、1人の老人が住んでいた。
そのお爺さんは頭髪はすっかり禿げていて、高齢のためか何時間も
ほとんど動かない人だった。
その大学では美術系はどの学科でもまず人物の頭像を作る彫刻の課題があった。
そのお爺さんは長年この学生達に大変な人気があるモデルだった。
何しろ何時間も動かずにいてくれるし、禿げていて頭の形が明確。
このお爺さんが引退した後に、劇団員の若者がその後任となったそうだ。
しかしその若者はロン毛だった。これでは頭蓋の形が把握し辛いと
クレームが後を絶たなかったが、安い報酬で一体誰が来てくれるんだよう、という
先生の声に従ったそうだ。そして学生達は皆で代わる代わる「すみません。頭の形を
知りたいので触らせてください。」と頼んだそうだ。お互いにちょっと嫌な気持ちで
髪に手を入れて頭をぐりぐり、だそうだ。