憎まれっ子

年明けより再入院していた実家の父親の病状が悪化。
医師の説明によると、それはそれはもう大変に厳しい状況。
体には点滴やチューブがつながれ、自力で起き上がる力はない。
意識も低下しているので、話もあまり通じない。
しかし、話の内容はめちゃめちゃなんだけれども、態度のでかさと
説教のくどさは保持されている。
弟は何故か、その病院の複数の看護師から結婚を申し込まれたのに
早急にきちんと態度を決めて対応しないダメな男、
という完全に妄想上の設定をされてしまったがために、
病室にて病父から延々とお叱りを受けている。

私にもいろいろ話かけるが、なにぶん内容がかなり崩壊しているので
私も聞き返してしまったり、病父の期待に沿わない返事をしてしまうのが
不興を買い、なんかやけにギラギラした目つきで睨まれ健康時と変わらない
不愉快なからまれかたをする。
帰り際に私が「じゃ、次に来たときはもっと楽しいお話でもしましょうね」と言うと
「はあぁっ?俺は別に漫才師でも落語家でもないんだよ」と明らかに敵意を持って言う父。
あと数日で死んじゃう可能性が高いって言われている実親と娘の会話ですかこれが。
非常にウチらしい流れだが。
これが親からきいた最期の言葉になるかもなあ、と思いつつ帰路。
しかし「ありがとう」とか言ったとたん死んじゃう体質と思われる人なので
こんなに嫌われているうちはまだ生きるんじゃないかしら。