六本木に縦切りの牛を見に行く

娘(高3)と六本木ヒルズ森美術館でやっている
ターナー賞の歩み展」に行った。
ターナー賞というのはイギリスで毎年盛り上がっている現代美術の賞ですって。
大砲みたいにでかい獣足の測量機の金属彫刻とか、
団体に記念撮影風に静止してもらっている60分間のビデオ記録とか
家の内側すべての型をそのまま立体で取って、解体と同時にそれが広場に出現した
巨大作品の記録とか。やや理屈がかっているが面白い。
そして一番の注目はデミアン・ハースト「母と子 分断されて」という
大きな牛と子牛がそれぞれ、全身を正中線から左右に真っ二つに切断されて
対でホルマリン漬けにして並べられた作品だ。
切断面同士が30cmくらいのすきまを空けて展示されていて、
その間には客は入れない。
やはりこれは、牛さんの体の中身を見てねという展示なんかではなくて
「分断」を見せている。そこにある分断。
分断はせつないね、でもあるんだよ、君自身と君の子の間にも、君自身の中にも
当然私にも誰にも、と親牛の眼球を眺めていたら、
場所柄だね、ヒルズの展望台で夜景見物のデート中のうきうきしたカップルが
ついでに同じ階の森美術館に寄るせいか
「いやあん、何やだこれ」とか、新鮮なリアクションを次々とする。
そうか。こういう客の反応も含めて作品ってことか。
分断でもありあざとさでもあり。