カバンに入れておく文庫本

フローラ逍遥

フローラ逍遥

先日古書店で「フローラ逍遥」が文庫本になっているのを発見し購入。
出かける時にカバンに入れて少しずつ読んでいる。
20年前に澁澤龍彦氏の訃報を聞いた頃には
これのハードカバーのがまだ新刊で書店の平台で積まれて
美しい椿の表紙絵を見せていたのを覚えている。
水仙」「椿」から始まって「菊」「蘭」まで
だいたいその花が見られる季節の順に25の章が並び
渋澤さんの短い美しい文と日本画や西洋の銅版画や石版画の
どれも細密で優美なカラー図版が各章3葉ずつ。
通りすがりに緑地や人の家の庭先なんかで
たとえばスミレの花を見かけて電車に乗ってからこの文庫本を開けて
そこで、スミレは酔いを醒ます効果が信じられていたために
古代ローマの美食家達は宴席でスミレの花冠をかぶり酒を飲んでいた話とか、
今の時期だったらやはり、ルドゥテの薔薇図譜の銅版画とか、
特に春とか初夏の外出の時にちょこっと持ち歩いて時々読眺めるのが良くて
この本は文庫サイズで出たのはとても良いと思う。