三渓園の続きと時間の破片

で、娘と行った秋晴れの三渓園は快適だったってだけの話なんですがね。
まあ写真も撮ったので続ける。


三渓園といえば広い敷地に歴史ある建造物と手入れの行き届いた樹木と四季の花々、
そして風光明媚な池なわけで、その池にはやはり鯉がいる。

池のふちではまだヨチヨチな幼児が無邪気に持参のパンを水面に投げていた。
しかし持参のパンは同行者である祖父母の手によるものであろう
3斤くらいあると見え、1cm角くらいのさいの目に刻まれている。

幼児は興奮状態でパンを放り続け、水面は鯉のてんこ盛り状態。鯉オンザ鯉。
仲間の鯉のボディーの上に乗り上げたままでばしゃばしゃと跳ね回っている。
幼児、笑っているがこれは軽いトラウマにもなり得る光景と思うぞ。
これに何か現代美術らしいタイトルを付けたらいいんじゃないか。
「水面下の生き物達が無邪気な支配者に擦り寄ろうとひしめき跳ね回る」みたいな。


怖い鯉を見て少し微妙な気持ちになったところで、茶店でおやつ。
串だんごを焼きながら売っていて、各種トッピングが選べる。
暖かい甘酒と、味噌田楽も。



そしてまた横浜トリエンナーレの会場のひとつの
日本郵船海岸通倉庫(BankART)に移動。

すでに夕方になっていたので、他の展示は見ずにすぐに勅使河原三郎の
「時間の破片」の入場待ちの列に並んだ。この日に踊るのは佐東利穂子。
1時間ほどの待ち時間だがこれはまだすいている方で、
終演時間にかかって見られない場合もあると説明されながら並ぶ。
このダンスは休憩なしで5時間続き、客は20人くらい入れるが
客自身で退出は決めるので、仮に客の多くが長時間見つづけることを選んだ場合、
待っていても入れないということ。中には5時間見つづける猛者もいるという。


そして、私と娘は漏れてくる静かな音楽やガラスの音を聞きながら待ち
終演まであと30分をきったところで入ることが出来た。
奥行きのある部屋にはガラスの破片が大量に敷き詰められていて
壁全体にも大量にぎっちりとガラスの破片が刺さっている。
その中で佐東利穂子は踊る。
照明は変化し、明るく照らしたり、反射のような映像を壁やダンサーの体に映したり、
夜のような宇宙のような暗さのなかでのガラスのきらめきになったり。
ダンサーがケガをしてしまうのではないかと見ていてどきどきしてしまう。
のびやかに優しく動く。
歩くとガラスはパリンパリンと音を立てて割れる。
壁から突き出しているガラスにも足元に堆積しているガラスにも
ダンサーは優しくしっかりと動く。



そしてこの感慨深いダンスを見たあとは、他の展示の部屋の終了時間でもあり、
このまま帰ろうとしたら、外で人だかりができていた。
のびアニキさんがブロマイドにサインをして配っていたよ。
黄色い長袖シャツに半ズボン。リアルなのび太くんの10数年後だ。
背負ったランドセルには画面がついていて街での映像が映っていた。

これはチラシ。美術館でのびアニキさんが昼寝しているところを客が鑑賞する
睡眠パフォーマンスとかする人だそうだ。