干しヤモリ

うちの自宅の台所の窓には夜になると
ヤモリが張り付いている。
もちろん窓の外側だし、窓の灯りに寄って来る
小さな蛾などを捕らえて食べるところを部屋の中から観察するのも
私は好きな方だ。
しかしたまにこのヤモリの小さいのが室内に入ってきていることがあり
それはちょっといやだ。


で、いつものとおり屋内各所に脱ぎ散らかした衣服の中から
レギンスを拾い出して着用しようとしていた娘が悲鳴を上げた。
どういう経緯でか、その黒いナイロンの布地には
潰れて干からびた灰色の小さなヤモリの死骸が貼り付いていた。
わーわーと慌てる娘に、まずそれを玄関の外にそっと持って出て
干しヤモリを振るい落とすことをすすめた。
玄関の外に出るには、下着以外にとりあえず何か着用が必要。
そのために行動しようとして、自分で床に置いた
問題のレギンスを娘は何気なく踏んでいる。
「ねえ、あなた今、干しヤモリ踏んでる」と教えてあげたら
娘はキャーと叫んで室内を走り、
涙目で再び行動を再開しようとして、もう1回また同じように干しヤモリを踏み
また飛び上がって悲鳴をあげて
「どうしてこんなにばかなのかなあ」とやや消沈して干しヤモリをやっと屋外へ。