サンタ撤収

娘が大学生になったって、息子が高校生になったって、お母さんはクリスマスプレゼントをあげたいんだよう。
しかも、できればサプライズで歓迎されるプレゼントをしたいんだよう。
親が勝手に用意してくれたプレゼントなんてハズレ以外にないだろうということは、うすうす感づいていてもあえてチャレンジしたかったんだよう。


娘へのプレゼントはわりと順調に決まった。
娘が少し前に村上春樹の「海辺のカフカ」を読んでいたときに、その中で中日ドラゴンズの帽子とアロハシャツの星野さんが感動したベートーベンの「大公トリオ」。聴いてみたいと言っていたのでCD購入。これはばっちり。
ベートーヴェン:大公トリオ / シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番


息子は何が欲しいのかと言うと、ジャグリングで使う「ポイ」が欲しいとわりと何度も言うのだけれど、あんたそれまさか自宅室内で投げて練習する気ではないよね、では屋外で練習するのかい。どうなのよ、なんかもうちょっと自分でよく考えてから決めると良いよ、お母さんはその問題には当面は触れないでおく。


それでは息子が欲しがっていているものは何か。息子が娘にもごもご話しているのを小耳にはさんだ。「イヴ・タンギーの画集を本屋で探したんだけど、なかなかみつからないんだよ」。ふむふむ。なんかあれだな。ダリとかマグリットではなくて、タンギーというのがなんとなく息子っぽいような感じはする。

お母さんは早速こそこそとアマゾンその他のネット書店でタンギーの捜索活動に励んだが、今まで気づかなかったけれど、タンギーの画集って入手が難しいんだね。日本国内で出版されたものも、海外で出版されたものもどちらも貴重。中古品で売りに出ることはあってもすぐに売り切れてしまうようだ。今すぐ買えそうなのは中古の洋書の画集で2万6千円…。いや、それはちょっと。

あちこち探すうちにアマゾンの洋書の新書でこれを見つけた。
Yves Tanguy
ペーパーバックだし、それよりも表紙が変。変だとは思いつつ、表紙にYves Tanguy ってはっきり書いてあるし。プレゼント用に買うのはこれに決めた。
そして12月24日。家族でチキンを食べる頃にちょうどアマゾンから到着。
さあ、プレゼントです。息子はパッケージを開けて「おおっ!タンギー?わあー」と素直に喜び、そしてページをめくり…沈黙。


これさ、画集じゃなかったのよ。なんというか、ちょぼちょぼとしたレポート的なもの。
タンギー作品の図版とかあるんだけれど、カラー図版がゼロ。全て白黒でしかも家庭用の白黒コピー機で縮小コピーを繰り返したような図版。
タンギー以外の作家の作品のほうがむしろ多く載っているけれど、おいおい
このほとんど真っ黒に塗りつぶされたような印刷は、もしやあの絵かな、的な
非常に困った状態。
日頃は、私ほどおとなしい消費者がいるだろうかという弱気なお客さんな私だが、さすがにこれは返品いたしました。

息子、サンタさん撤収。すまん。ごめんね。
と、謝ったり、また腹が立ったりしつつ、なんかこう充実感あるわ。


夫は宮本笑里のバイオリン演奏をYOU TUBEでよく再生しているのでこれを。
for(初回生産限定盤)(DVD付)
素直によろこばれた。