留学生におみやげ

息子は先日の自転車激突事件のあと、顔面と口腔内の抜糸が終わり
あとは歯の治療をしながら普通に学校にも行く。

息子の高校には韓国から短期留学の高校生達が数名来ていて
息子のクラスに来たのは、照れ屋さんだが勉強熱心で日本贔屓な少年。
もともと日本のいろいろなものに興味があったようで
休み時間も、かたことの日本語で高校生たちと少しづつお話していたという。


彼が韓国に帰る前日に「彼に日本のおみやげをクラスの各自で持ち寄ろう」と
いうことになったという。
飛行機の手荷物にできる程度ということで、それぞれ小さい菓子とか
漫画の単行本とか扇子とか、各自がバラバラと自宅にあったもの等を持ち寄ったとのこと。


息子は何を持っていったのか。気になってきいてみた。
「韓国では絶対に売っていないものを選んだ」と息子。
自慢げなその態度。もしや「こんなもの選んだ俺カッコイイ」状態で
相手の方は対応にちょっと困るパターンか。


それは先日亡くなった叔父のところからもらってしまった年賀状スタンプだった。
息子は叔父の家でそれを見つけたときに、そういうものを生まれて初めて見た
と予想外の感動をして、喜んでもらって来た。
当然他に欲しがる人がいるよしもない。
これが実際に使用されていたのは昭和か平成の初期までだったのではないか。その当時は普通によく見かけていたはず。
このスタンプ、実ににょろにょろとした毛筆続け字の行書体で、しかも文が長い。
「謹んで新春のお慶びを申し上げます。旧年中はひとかたならぬご厚情をいただき厚くお礼申し上げます」に始まり、昭和の文語体の新年のご挨拶がみっちりと
7〜8行にわたって縷々と書き綴られている。
これはまさに息子レベルの高校生にとっては「声に出して読めない日本語」
コトバも漢字も難しいが、この続け字の読み取り自体も今どきする機会がない。
この大げさに丁寧な格調高いご挨拶文と、それをスタンプでペッタンする手法のアンバランス。
平成生まれの子は確かにそんなものは見たことないかも。

韓国人留学生、不可解なものをもらってしまって困惑しただろうか。