ある血液型性格判断信者の沈黙のいきさつ

うちの夫ときたら、血液型の性格判断をマジで信じている。
誰はA型だからどうのとか、誰はどうだからきっとB型だとか
結婚前からことあるごとに日々うれしそうに何やら自信に満ちて語っていた。
「血液型で行動が決まるなら、あなたの友達で恐怖の汚部屋優勝のあの人と、
常にきっちり隅々まで清潔部屋のあの人が同じ血液型だっていうのは
どう説明するんだね」という私の質問にも全く動じない理屈展開。


しかし我が家の息子と娘は今まで特に血液型を調べる機会もないままだった。
「息子と娘は性格が違うからきっと血液型が違うと思うな。
 うちは夫婦そろってB型だけど、性格から見てきっと息子はB型で
 娘のほうはO型なんじゃないかな。うひゃひゃひゃ」と夫は意味不明に
 上機嫌で語ることが日々繰り返されていた。


そしてこの夏休み。16才になった息子は初めて献血をした。
「お母さん、俺、AB型だってよ。」
「・・・・・・・?」


献血センターでくれた書類で確認しても
そこには間違いなくAB型と記入されている。


考えられる可能性
1.献血センターの間違い(可能性低し。ていうかそうだったら大問題)
2.私の血液型がB型ではない(献血でも出産時の検査でもB型なので、あり得ん)
3.息子は出産のときに産院で取り違えられている(あの産院の状況からして無い)
4.血液型大好き夫が自分の血液型をこの年齢まで間違っている

どう考えても4番以外の可能性が思いつかない。
その他の原因とすれば明らかに家庭の重大問題。


夫に問うたところ、あろうことか今までの人生で献血の経験はなく、病院で調べたこともなく、自称B型は高校の生物の授業中の実験での推論という。


夫に可及的速やかに献血センターに行ってくることを厳命。
数日後に結論が出た。
夫は本当はA型だった。


「あなたは今まで何十年も血液型性格判断を語っていて
自分がB型ではなくA型と知った気持ちというものはどうなんですか」
と私が問うても夫は
「いや、自分の机の片付け方とかなんかA型っぽいとか前から思ってたし」とか
なんかそれでもニコニコしていて
アイデンティティの全く丈夫な人だよ本当に。


息子に「あなたはいつもお父さんが、うちは夫婦そろってB型だからとか
いつも言っていたのに、自分がAB型って知らされて何も悩まなかったの?
すぐに言ってくれて良かったけれど、
もしも親に言えずに一人で悩んでいたらと思うと不憫だ。」と私がきくと
息子は夫が「B型だからうんぬん」としょっちゅう語っていたことを
別に聞いちゃいなかったということがわかった。それじゃ悩まないね。

夫は最近、血液型と性格の話は、ぱったりしなくなりました。