「版画でつくる驚異の部屋へようこそ!展」

私の地元である町田市には版画美術館がある。
2年前にの「驚異の部屋展」をやったが、ここで再び
それを更にスケールアップした展覧会をしている。
ダゴティの色鮮やかな解剖図が2年前のときよりも随分増えて迫力だし
写実的なのに非現実的な美しさの植物図譜「フローラの神殿」は
30枚くらい並んで華やかだし、
キルヒャーその他の執念深いまでに細かい版画と分厚いページの
16世紀の貴重本がいろいろ展示中。さすがにケースに入っていて
めくることはできないけれど。
タコの吸盤ひとつひとつまで、ヒトデのイボイボのひとつひとつまで
みっちり描き込まれた銅版画にもめまい。
澁澤龍彦荒俣宏あたりから驚異の部屋が気になる方々、
役に立たない訳の分からないけれどカッコイイ謎の部品や貝や石や骨などを
うっかり自室に集めてしまうがヴンダーカマー劣化版というよりも
ただの汚部屋になってしまう残念な方々、
町田に来たついでにちょっと珍しいもの見ていきたい方々、
是非この機会にこれは見に来ると良いと思う。11月23日まで開催。
入口でルーペを貸し出しているので、是非これを使って
時間をかけてしつこくねちこち細部まで鑑賞をするのがおすすめ。

そして無職の私はこの展示期間は、ちょっとこの美術館のボランティアをする。
当番に入るのはほんの数日なんだけれど、
先日はボランティアの研修があって
学芸員さんたちに美術館の裏側の収蔵庫を案内していただいて
まだ額に入れる前のフローラ神殿を見せてもらったり
ケースに入れる前の16世紀の分厚い本、ミュンターの「宇宙誌」を
めくって見せてもらったり超楽しい。

期間中は常設展は「チベット密教版画」。こちらは小規模だが
日本の仏教とは違って、全裸にドクロのネックレスを付けて
ドクロの杯で生き血を飲みながら敵を踏み潰す女尊とか面白い。