アタナシウス・キルヒャー

版画美術館の「驚異の部屋へようこそ!展」で
地味にボランティアをしているのだが、この日は講演会の客として参加。
金沢工業大学の竺先生が「キルヒャーの世界」を語ってくれた。


今回の展示ではキルヒャーの版画のたくさん入った本など展示されている。
それが「ノアの方舟」だったり、鏡と光の反射の図や、音の反響の図説、
地球の内部のマグマと噴火の図とか、なんかこう
あちこち対象が広範囲に拡がって
しかもそのひとつひとつが繊細稠密な書き込みで
それがいちいち分厚い本になっているし、
いかにもやりすぎというか、過剰で斜め上にバンバンぶっ飛んでいる
マッドな知性を感じさせる人だというのは展示からもわかる。


そんな17世紀の特殊天才のキルヒャーのお話はやはり面白かった。
聖職者で、同時に広い学識の天才学者だったキルヒャー
しかし彼は、聖書に書かれていることはすべて真実だと信じ
エジプトの古代文字を解読したがそれは完全な誤読だったことが後に解るなど、
後世の科学者から見るとちょっとあれなんだけれど。
神がつくりたもうた世界なのだから、その愛の階層をたどれば
世界宇宙に関するすべての知識を人は獲得できるはずという壮大な世界観。
知の爆走っていうか、これはすごい。

キルヒャーの世界図鑑―よみがえる普遍の夢

キルヒャーの世界図鑑―よみがえる普遍の夢

銅版画の図版がもりもり載っている。楽しい。
会期中は版画美術館の売店でも買える。