これだけは読むべし「銃・病原菌・鉄」

仕事がしんどくなってきてから読書する元気が無い状態が続いていて
退職したらガンガン読むぞと思っていたのに
もうね、仕事辞めたら辞めたで全然ダメだった。
果たして本当に自分は今までずっと仕事なんかしていたんだろうかと
自分でわからなくなるくらい、ほとんど何もしないまま毎日が終わる感じ。
朝早く出勤して午前も午後も残業も、あれこれ働いていたのに
あのペースで動けば、部屋の片付けだって読書だって外出だって
何だってもっとどんどんこなせるはずなのに。わからん。


しかし読みかけだったこの本だけは頑張った。


銃・病原菌・鉄 上下巻セット

銃・病原菌・鉄 上下巻セット

ついに読み終わった。満足。すごく面白いのに読了まで1年かかってしまった。
内容がとても充実しているけれど、難しい書き方ではないし
大切なことは繰り返し繰り返し丁寧に検証され説明されるので
読んでいて安心感がある。
だから1年もかかっちゃったのは、決してこの本が読みづらいとかではない。
体調とか集中力に難がある状態で少しづつ読み進めるのって
普通は「あら、前回まで読んだところが全て忘却の彼方だわ」ってなるが、
この本の場合は、疑問を解決しながら進むのでそうはならない。
「そうそう私もずっとそれが疑問だったんだよね」→
→「そうか。そういう理由は考えたこともなかったけれど、その説明ならまさにピッタリ」が
自分の頭の中で読むごとに繰り返される。
 南の島の先住民たちの生活が、ヨーロッパの白人の生活に比べて
貧しく「遅れている」のは、決して努力が足りないダメな人種だからではない。
では一体何がその差をつけたのか。
 インカ帝国の方から欧州に攻め入って白人たちを支配できなかったのは何故。

1万年以上前からの地球上の人類の広がり方を検証しながら、食料になる植物の分布、
特に限られた地域にしかなかった穀類の野生種がどう広まったか。
 人類の食料になる飼育可能な哺乳類は限られた地域にしか居なかったこと。
気合入れて頑張ればどうにかできたとかの問題ではなかった。


「頭が良い人種と、怠け者で愚かな人種がある」「努力が足りなかったから負けた民族」という
世間の声がまた自分の内面にまで伸びて来そうになったら
私は何度でも読み返すことにする。


この本の中では「アフリカ大陸や南米北米大陸よりも欧州で
文明が発展していたのは、ユーラシア大陸が南北ではなくて
東西方向に長い陸塊だったのが大きな理由、と説明されていて
私なんか「なんだいその変なトンデモ意見は」とか初め思ったけれど
これがね、この本をじっくり読むと確かにそうなんだろうと感動する。