「生活感がある部屋」の写真

人生がときめく片づけの魔法に書かれていたのは
「家を片付けるときに、家族のものを決して勝手に処分してはけないのは当然。
しかし、家が片付かないのを家族のせいにしない。
自分のモノよりも、家族のモノがどうしても邪魔に思えるが
まず自分のものをしっかり片付ければ、家族もそれに続いて
自然にそれぞれの片付けを始めるものだ」という見解。



本当かなと思っていたが、私に続いて娘がついに自分の汚部屋を片付け始めた。
それには「友達が泊まりに来て、部屋の写真を撮るから」との理由があった。



娘の汚部屋の噂は友人たちの間では周知されているようだが
その子は「友達の家に泊めてもらって、他人から見ると
ちょっと不思議だったり、でもそこの家族には普通だったりする生活を
部屋の様子を撮影して、何件分か撮り溜めた写真を集めて作品にしたい。
きれいに片付いた部屋よりも生活感がある部屋を撮りたい」とのこと。


いまひとつ「生活感がある部屋」というのが、
具体的にはどんな状態を中心とした概念なのか、私はよくわからないんだけど。
あまりの汚部屋も、インテリア雑誌のような美しすぎる部屋も
きっと「生活感」ていうのとは違うから、私の家は今ちょうど生活感な
ところなのかもしれない。


で、彼女は泊まりに来て、うちの各部屋の撮影をして満足そうに帰っていった。
まだ片付けはじめてどうも途中で止まってしまっていて
非常に中途半端な乱雑状態な情けない私の部屋の写真も
彼女の作品の役たつのなら好きなだけ撮影して行ってちょうだいでした。
彼女の家は、彼女以外の家族皆がとてもまめに片付けて掃除しているので
きたない家には興味があるし、乱雑だと楽しいとのこと。
風呂は特にまだカビ取りもしていないまま提供したのが気の毒だった。


息子の部屋は、服と書籍と、古い錆びた謎の金属部品のコレクションと
ギターとカホンと、なぜか上皿天秤とかよくわからない物で混み合っていて
本人が思っているより随分キタナイと思うんだけれど
頼まれたら実に堂々と撮影を受け入れていた。
息子は自分の部屋の、ごちゃごちゃのこの状態がわりと気に入っていて
むしろ自慢気ですらあった。この部屋と自分の写真を女子に堂々と撮らせて
会話もいつになくしっかりしていて、思ったより大物かも。