詩と革命

  「どっちがえらいだろうか、詩人と
   人々に物質的利益を
   もたらす
   技術者とでは?
   両方ともだ。
   心臓は ともに同じモーター。
   精神は これもひとしく精巧なエンジン。
   ぼくらは 平等である。
   ともに労働者大衆のなかの同志。
   からだも心もプロレタリアだ。
   いっしょに力を合わせてこそ
   世界を ぼくら かざりたて
   行進曲をとどろかすことも できる。
   ことばの嵐にたいして 防波堤をきずくことも できるんだ。
   仕事にかかろう!
   労働は 生き生きしてるし 新しいぞ。」


     マヤコフスキー詩集「詩人労働者」より


マヤコフスキーのことは詳しくは知らない。
芸術と詩を愛する青年が社会主義革命、ソビエトの理想に燃えて
やがて拳銃自殺に至った。


マヤコフスキー君、私はしかし、詩人ではないし
最近は労働者ですらないんだよ。
すまない。革命の理想以前に労働の意欲から失っているんだよ。


本の整理をして、私の本を2割くらい処分した。
夫にも「あなたの本で処分したいのあれば出して」と言ったら
完全雪崩状態の自分の本棚を前に「一冊も手放さない」と豪語された。

しかし、私が自分の分だけを粛々と作業していたら
夫も気が変わったのか「これ処分ね」と紙袋ひとつ分出してきた。
その中に古いマヤコフスキー詩集。
 
 夫、こんなの持ってたのか。
 良いねこのロシアアヴァンギャルドっぽい装丁 

  
 この背表紙のカタカナのフォントも
 古いビラ文字ぽい風情で良いね。

夫は装丁がかっこいいのでずっと持ってたけれど読まないから、と。
私も読まないね。しかし捨てる気持ちにはならないので古書店へ持ち込み。


そして地元の古書店(量販店ではない)へほかの本と一緒に持っていったところ
買い取り価格ゼロ査定。古紙扱いとなることが判明。

他のゼロ円査定本はともかく、このマヤコフスキーだけは不憫になって
思わずまた自宅に連れ帰ってしまった。
意地になってつい読んでしまった。



片付けの道は険しい。