故お姑様の話

義姉のコンサートの後にちょっとした打ち上げ。
私はあまり会ったことがない、義姉の同級生も親族と一緒の席で歓談。
義姉の同級生は、子どもの頃からよく家に遊びに来ていたとのことで
20才前に家を出てしまった夫よりも、夫の実家について詳しい。


私が夫と結婚する前に、既に舅は亡くなっていたのだけれども
この同級生は元気な頃の舅のこともとてもよく知っている。
私も夫もまだ知らない「舅VS姑」事件も教えてくれた。


舅は書家だった。
掛け軸など書く以外に、映画の関係の仕事が多かった。
映画会社から仕事を受けて、タイトルとか出演者とかを毛筆で書いたり。
そして家庭内では、ちょっとした事件が夫婦間でちょくちょくある。

舅は、いつものように映画の冒頭に映す、出演者名の一覧を自宅で書いていた。
一発で完成という訳にはいかず
気に入らないものを、書き損じとして丸めてゴミ箱に捨てていた。
そのとき書いていたのは、超人気の大物俳優が主演。
お姑様はこっそりゴミ箱からそれを拾ってアイロンをあてて伸ばして
その大物俳優の大ファンであるご近所の奥様に差し上げていた。
これが発覚して舅大激怒。
だが、お姑様は全く悔いることなく「自分が怒られる理由がわからない。
もらった人は喜んでいるのに捨てるなんてもったいない」と信念を曲げず
まだ当時学生だったこの同級生にまで「私の方が正しいのに」と
明るく語っていたという。
しかもまた後日それを繰り返してまた騒動になっていたとのこと。
お姑様は最強。
私はもちろん、夫も知らない話だったが
関係者全員が「いかにもありそうな事件だ」「誰にも止められない」と
大笑い。

お正月が来ても、もうあのお姑様の天真爛漫な激震大炸裂がないから
身内一同は、暴走対応も不要になって盛り上がりには欠けるね。