国芳とかカラマーゾフとか

六本木では森アーツセンターで、歌川国芳展が後期になった。
前期とは大きく展示替えされている。
だもんでまた見に行っちゃったよ。
前期に行ったときに図録も買ったんだけど、それでもまだ後期も見たら
また本当に楽しいんだよ。


そして夕方は娘と待ち合わせて俳優座へ。
カラマーゾフの兄弟」を鑑賞。
もちろんドストエフ好きーな娘からの要望で行った。
原作をぎゅぎゅぎゅっと短く縮めて、うんとわかりやすくした感じ。
観客全員が初めから終わりまでちゃんとわかるような演劇って
なんか超久しぶりだと思う。
スメルジャコフが思ったより猫背だった。
そしてやはり登場人物たち(リーズ以外)は語りまくり。
かなり縮めていたって圧倒的な台詞量で充実。


客層は、教養があって金銭にも余裕がある定年後の円満夫婦が
メインな感じだ。娘の大学の学生たちの就職の難しさなどきくと
この客層がなんかとても遠い地位になっているような微妙な気持ち。

国芳の波が来てるようだ


歌川国芳を見てきたら、思ったよりも何倍も楽しくて
思わず分厚い図録を買ってしまった。
あんなに頑張って自宅の書籍等を処分して減らしたのに何をしているんだか。
でもこれは自宅でじっくり見ても面白いので後悔しない。



森アーツセンターで前期展示開催中。
私はちょっと侮っていた。六本木で浮世絵だしそんな混まないだろうって。
とんでもなかったよ。ちょっとした入場待ちも有る混雑振り。
そして客層が幅広いというか若かった。
で、また、カップルとか友達とかで連れ立って来ている若い客が
楽しそうに感嘆しながら鑑賞していて、こういうのってとても良いね。
「これどうなってるの?」「見て、こんな怪物もいるよ」「鯉でけぇ」
「この格好可笑しい」「だじゃれか」「すげえ強そう」などなど
見ると思わず誰かに話しかけたくなるような絵が多いね。
係員が何度も「白線よりも下がって鑑賞」とか注意しているけれど
思わず顔を近づけて指さしながら見たくなる。

展示替えをするそうなので、後期も見に行きたい。


町田市立版画美術館でも、3月3日〜4月1日
「浮世絵  国芳から芳年へ」という企画展がある。


私は浮世絵はほとんど興味がなかったんだけれど
「血まみれ芳年」だけは面白いと思っていた。しかし
これでいきなり国芳大好きになってしまったから
地元で国芳芳年が一度に両方見れるなんて嬉しい。
どんな展示になるのかな。とりすました退屈なのじゃなくて
いろいろ面白いのが並ぶといいなあ。





「没後150年 歌川国芳展」の帰りに東京タワーと満月を見る。

新年の益子

元日には夫実家で恒例親族大集合。


翌日は栃木県の益子へ。もうお店は大体あいていた。
益子の陶器の大たぬき。息子は骨董屋をぶらぶら見る。




骨董屋では8万円で赤い郵便ポストも買えるらしい




はにわの皆さん。今年は地面があまり揺れませんように。




母と実弟は先に益子に来ている。
食事の前にまた亡父の作業場を見る。



帰り道。暗い道を夫が運転。

息子の蜜柑塚

息子は高校が冬休みになってから
特にアルバイトをするでもなく、演劇部は辞めちゃったし
毎日深夜まで起きているらしく、午前中はずっと寝ている。
パソコンに向かっているのか部屋にこもっている時間が多い。
私も無職になっているので自宅にいる時間が長いのに
冬休みになっても息子と顔を合わせている時間があまり増えない。
私が気づかない間に起きて静かに居間に来て
ひとりで少し食べて古いファイナルファンタジーをやってまた去って行き
次に会うのは夕飯時になる。

昼間に私が息子を見かけるときは、ほとんど居間でゲームをしながら
みかんを食べている姿に限定される。


息子がまだ部屋から出ていないのか、それとも一度は居間に来て去ったのか
野生動物だったら足跡やフンを観察するのだろうが
息子の場合は居間のコタツに蜜柑の皮を積み重ねて
「みかん塚」を形成しているか否かで判断するようになってしまった。


うちの家族は異常にみかんの消費量が多い。特に息子はみかん食べ過ぎ。
家族4人で年末年始は1週間で蜜柑を10キロ消費という記録を
2週連続でやってしまった。2週間で20キロのみかん。
息子は1度にどうも4〜5個を食べるらしい。
「あ、こたつに新しい蜜柑塚がある。息子は起きて来たんだ」とか言う。
うまく昼間に会えて「久しぶり、会えてうれしいよ」とか私が言うと
その言い方が面白いと思うのかどうか、笑いをこらえた顔をする。
そして時々iPadでおもしろ動画を見せてくれる。

もう冬休みが終わる。

家族で面白く見れる名画

映画館にはあまり行っていなかったけれど
娘がツタヤのレンタルDVDを借りてくることが多いので
付き合って見ていることはよくある。
しかし途中で寝てしまう率が高い。
あと最後まで見たけど内容が思い出せないのが多い。無気力だからか。


そして最近は娘は黒澤明の映画を続けて借りて来る。
古い黒澤明を見て、「これってこんなに面白かったのか」と
私は今さら思い知りました。
家族4人が皆で集中して見ていられて面白い映画って
我が家で最近はあまりなかったし。(ラピュタくらいかな)



どん底<普及版> [DVD]

どん底<普及版> [DVD]

ゴーリキーの「どん底」を時代劇にしている。
私は中学生のときに岩波文庫で読んだ「どん底」で
「手風琴」とか「韃靼人」とかの言葉を知った。
そんな知識よりも英単語でももっと覚えようという知恵は無いまま今に至る。

あのゴーリキーの小説を読んで思い浮かべた感じが
そのままに日本での場面になっている。
最底辺の貧乏住人達がみんな素晴らしい役者達で
途中ちっとも飽きることなく見れる。
本当にこれ以上なく酷い貧困なんだけれど映画が良く出来ていて
暗い気持ちにならずとても面白い。


隠し砦の三悪人<普及版> [DVD]

隠し砦の三悪人<普及版> [DVD]

娯楽としての映画ってこういうのを言うんだね。
見ていて悩むこともイラつくこともなく楽しい。
エロ無しグロ無し説教無し、美脚有りアクション有りおとぼけ有り。
イケメンの若侍の三船が、美しい元気な姫君を守り
ドジっ子同行者あり、「裏切り御免!」にしびれる。


生きる<普及版> [DVD]

生きる<普及版> [DVD]

公務員映画の最高峰とは聞いていたが
実はこれ初めて見た。
素晴らしいよ。普通の市役所のおじさんが人生最期に誠実に仕事をする。
それがこんなに感動的なんだよ。
全国の公務員はもちろん、公務員叩きをしている人もそうでない人も
これは見て皆で感動して泣こうではないか。
でも私はまだ当分働かないけどね。
映画の市役所では背後にいつも書類が山積みでリアル。

「恋の罪」を見てきた

覚悟して見に行ったが
ひいいいーっ、園子温監督やっぱり大変だーっ。
1人で見に行って良かった。
映画の場面が主に渋谷の円山町で、見に行った映画館も渋谷だったんだけれど
見終わって映画館を出たときにはもうぐったりしていて
私はこのまま無事に何事も無くこの渋谷の街を抜け出して
今までと同じように電車に乗ってちゃんと自宅まで帰れるのかどうか
そんな心配をちょっと本気でしてしまったよ。
「言葉なんか覚えるんじゃなかった」という詩を聞いて考えてしまったら
もしも誰かに「私のところまで堕ちて来い!」と叫ばれたら
「はい!」と返事をすることなんて絶対に無いと言えるわけはない。
いや、そのくらい自分の立っている地面は薄いのかもってこと。
あれ、そんなはずはなかったんだけどどうなの。みたいな揺らぎを食らう。



昨年はあまり映画館に行かなかった。
昨年の10月に「アンチクライスト」を見に行って以来がこの「恋の罪」だ。
なんというか、あれとこれは大雑把な分類で言うと、近いな。
どうしたって絶対にR18指定以外になるまいとか
性的場面がどんどん激しくなって
逆にエロいのかどうかもうよくわからなくなってくるとか。



園子温監督の映画は「愛のむきだし」と「冷たい熱帯魚」はDVDで見たけど
やっぱりこういうのって、自宅の居間よりも
あやしい暗い路地につながる雑踏の向こうの映画館で見るものだよね。
というわけで、もうすぐ公開の「ヒミズ」を見る心の準備はできた。